少し前に、自然栽培の野菜を扱っている会社の社長さんから「玉ねぎがたくさんあって困っているので扱ってもらえませんか」との趣旨の連絡がありました。
サンプルも送ってもらい試食。
優秀な農家さんなんでしょうね。
生だと辛いけど、加熱すると甘みと旨味があって味はすごくいいです。
お値段は少々お高いですが、困っているとのことで、スポット扱いを条件でやることにしました。
青森はる農園さんの玉ねぎ。
サンプルで送ってもらったものより小ぶりなのが気になりますが、美味しいので是非一度お試しください。
以下、長くなるので興味がない方はスルーしちゃってください。
まず自然栽培とは。
有機JASや特別栽培と違って決まりがないんです。
乱暴な表現をすれば言ったもん勝ちみたいな。
極端な話、農薬使っていても「俺の野菜は山奥の自然の中で栽培したから自然栽培だ」って主張したところで何の罰則もないわけです。
(有機JASは厳格な決まりと、唯一罰則がある国の基準です)
一般的に自然栽培とは、基本的には農薬や化学肥料は使わないのは当然として、人によって色々で、堆肥を使わないとか、雑草を取らないとか、究極は土を耕さないとかって人もいるみたい。
土の上に住む微生物と下に住む微生物が混ざることが不自然だとか。
そこまでいくと自己満足な気がするけど。
人類は農耕を始めた時から、土を耕し肥やし、どうしたらたくさんの農産物が育つかを試行錯誤してきたのに、それ以前に戻ろうとしているわけですから。
まあそれは極端な例として、自然栽培を簡単に言ってしまえば、土の生命力を生かした栽培でしょうか。
でも、自然栽培を主張しなくても、有機農家さんでも同じような栽培している人、普通にいらっしゃいますね。
つまり、有機の認証を取っているか否かの差の部分もある。
過去に何人か自然栽培の農家さんとお話させてもらったことがあるけど、なぜだろう…、決まって「有機はだめなんです」って否定から始まる。
なぜ否定から自身を正当化しようとするのか全然分からないけど「いやいや、あなたの野菜も有機認証を取ったら有機野菜ですよ。プロなら正しく有機って言葉使いましょう」ってなるわけです。
僕からすれば、農薬や化学肥料に頼らずに正しく栽培された農産物であれば、自然栽培でも有機栽培でも、認証があってもなくても、そこに優劣の差は存在しない。
その土地や環境に合った栽培方法を各々の農家さんが考え育て、それが価値ある農産物であるかどうかは、僕らが食べて判断します。
理念は大切だけど、押し付けがましい屁理屈は嫌いです。
あとはお値段。
自然栽培を主張する人の野菜は高い。
収量が少ないから値段が高くなるは当然と言えば当然だけど、いつも見積もり見てびっくり。
「これって卸値ですか?うちの売値なんですけど」ってパターン。
そんな時にいつも尋ねるのは「あなたはお金持ち相手に商売するために自然栽培やってるんですか?」って。
そんなつもりはないみたいだけど、結果そうなっちゃてるんです。
今回も最初の見積もりは高くてお断りすると「こちらは赤字でもいいので、そちらでできる価格を言ってもらえれば」と提案してくれましたが「どこかが損をする商売は良くないです」と。
それに、昔の職場の上司の「困っている相手に値切るな。そして全部引き取ってやれ」との言葉を思い出し、全部やるのはとても無理ですが、少し安く提案してくれた価格でやることにしました。
(ちなみにその上司は普段めちゃくちゃ値切る怖い人でした)
まあ、世の中色んな栽培があってもいいんじゃないでしょうか。
一般的に流通している農薬を使った慣行栽培の農産物だって、全否定する人もいるけど、全部が無農薬になったらそれこそ食糧危機になるのは間違いないでしょ。
選択肢があるってことはありがたいことです。
フレスコではフレスコの基準で、幅広く、より多くのお客様に見合った農産物を提供していくだけです。
長くなりましたが、はる農園さんの玉ねぎ食べてみてくださいね。