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オーナーの話

きっかけ


若い頃はバイクで旅ばかりしていました。日本中、世界各地。食べ物は旅の楽しみの一つですが、印象深かったのが、アジアや中米のいわゆる途上国で食べた野菜。市場などに並ぶ野菜は、泥だらけで形はいびつで見た目は最悪の野菜。でも、それを食べたとき、びっくりしましたね。その美味しさに。ほんと、美味しかったです。味が濃くて香りが強いんです。今思えば、結果的かもしれませんが、それが無農薬栽培の野菜であったり、自家採種や在来種の野菜であったり…。洒落た言い方をすればオーガニックです。


思ったのは、そんな野菜を現地の人たちは毎日、なんの意識もせずに、ごく普通に食べているということ。日本だって昔はそれが当たり前だったはずなんですけど。それが今はどうでしょう。そんな美味しい野菜を食べようと探してみても、置いてあるのはおおよそ自然食品店。たまげましたね。その値段に。もちろん、栽培に手間がかかっている分、高めなのは分かりますが、これじゃあお金持ちの人しか買えないでしょってくらいの高価な野菜になっちゃってるんですね。だから余計に特別な野菜だと感じてしまっている。


おかしいですね。生活水準は日本よりはるかに低い国の人たちが、安全で美味しい野菜を普通に食べているのに、日本ではそれが特別なものになってる。もちろん日本でも地方に行けば、そんな野菜が食べられるかもしれませんが、ある意味貴重ですね。ほとんどの人が、形が整っていて色艶が良くて虫食いが無くて…。そんな味も香りもない素っ気ない野菜が普通の野菜だと思っているんです。食に限ったことではありませんが、どっちが幸せなのかなあと思ったりもします。




こんな店に


フレスコの品揃えの基準は自然食品店と同じです。自然食品店と名乗ってもいいのでしょうが、あえて自然食品店と大々的に銘打っていないのは、もっと気軽に利用してほしいから。「有機野菜って高くて買えないよ」とか「自然食品なんて病気にならないと食べないね」なんて思っている人が大多数。昔は誰もが食べていたはずのトマトやきゅうりの香りを忘れてしまっているんです。だからフレスコは基本的に美味しい八百屋でいいと思っているんです。その中身は安心であったり安全であったり、もちろん食品にしても同じ。添加物なんて使ってない昔ながらの製法で作られた味噌や醤油や油などなど。それらが特別な食品であるはずがないんです。


スーパー勤務で青果に携わっていた年数が長かったので、自分で店を経営するならやっぱり野菜を売りたいと思っていました。こだわりたいのはやっぱり美味しさ。見た目が悪くても野菜本来の味や香りがする本物の野菜。それが最優先。そして価格。一般の相場に比べたら割高になるのは当然ですが、お金持ちしか買えないような高価な野菜にはしたくない。だから、できるだけお手頃な価格での提供をしていきたいと思っています。誰もが毎日食べられる。それが基本です。


気取るつもりもないし、ブランドにするつもりもない。難しいことなんか何もなくて、ただ美味しいものを食べてほしいだけなんです。それが結果的には安心安全、健康な体と健全な心作りにつながっていくと思ってます。有機JASとか特別栽培とか、もちろん安全の基準作りとしての取り組みとしては悪いことではないけど、そういう肩書きなんかよりもっと簡単に、ただ単純に「美味しい」って感じてくれる野菜や果物。食品も同じ。例えば調味料。添加物を使わない昔ながらの製法で作られた調味料は香りが違う。素材を生かしてくれるから料理が美味しくなる。難しいことを説明すると、頭で考えなくてはいけなくなるけど、食べて「美味しい!」それが一番わかり易いんじゃないでしょうか。


毎日食べて、美味しいと笑顔になってくれて、それが結果的に健康になって。そんな野菜や果物や食品をお勧めしていきたいし、そのための食生活に役立てられるようなご提案をしてけるようなお店で在りたいなと思っています。